今年2017年1月に法律の改正により、確定拠出年金(個人型)に加入できる人が増えました。そこで、どんな人が確定拠出年金(個人型)に加入できるのか、どんなメリットがあるのかを調べたので記事にします。(間違ってたらごめんなさい)
確定拠出年金とは、
確定拠出年金は、「年金」とあることからわかるように年金制度のひとつです。
日本の年金は、3つの年金で成り立っています。
つまり、
1つ目:20歳以上の国民全員が入っている国民年金 (義務)
2つ目:民間企業、公務員で働いている人が入る厚生年金保険(義務)、自営業の人は国民年金基金に入ります(任意)
ここまでが、公的年金になります。
3つ目:公的年金以外の年金です。
企業によるいわゆる「企業年金」がこの3つ目に入ります。企業年金制度がある場合は、強制的に「企業年金」に入っています。また、個人で年金を加入するするのもこの3つ目に入ります。
もう少し詳しく分類すると、「企業年金」は確定給付企業年金と確定拠出年金(企業型)に分けられ、個人で入るものが確定拠出年金(個人型)となります。
確定給付企業年金と確定拠出年金は、確定給付年金は企業が運用し、確定拠出年金は加入者が運用するという点が異なります。また、確定拠出年金の企業型と個人型はお金を支払うのが(つまり拠出するのが)企業か個人かの違いがあります。
表にするとこんな感じです。
| 運用者 | 拠出者 |
確定給付企業年金 | 企業 | 企業 |
確定拠出年金(企業型) | 加入者 |
確定拠出年金(個人型) | 加入者 |
確定拠出年金(企業型)であっても一部を個人が拠出金を払うマッチング拠出というものあるようです。
確定拠出年金は、企業または個人が毎月一定の額を掛け金を拠出し、加入者が自分で運用して資産を増やす必要があります。つまり、利率が良いか悪いかは加入者の実力次第ということになります。もちろん、元本割れのリスクもあります。また、利益を得たからといって、その利益をすぐに受け取れる訳ではなく、次の給付金としてしか受け取れません。
老齢給付金 | 60歳になり、年金または一時金として受けとる |
障害給付金 | 加入者が高度障害になった場合に、年金または一時金として受けとる |
死亡一時金 | 加入者が亡くなった場合に、遺族に一時金が支給される |
(かなり大雑把に書いています。)
確定拠出年金の運用方法
確定拠出年金は加入者が自分で運用します。では、どのように運用するのでしょうか?それは、企業型の場合は会社が指定している機関の金融商品(定期預金、保険商品、投資信託など)から選択します。個人型の場合は、自分で金融機関を選び、その金融機関が取り扱っている金融商品から選択して運用します。金融商品のメリット・デメリットは以下の通りです。
定期預金 | 元本保証だが、利率が非常に低い。ペイオフがある。 |
保険商品 | 元本保証だが、利率が低い。途中解約では元本割れることもある。 |
投資信託 | 利率は高いが、元本割れの可能性もある |
(参考:http:www.tori-ismart.net/howto-fund-management-dc/#i-6)
確定拠出年金(個人型)に加入できる人
これまでで、確定拠出年金とは何かと、確定拠出年金の運用方法はわかりましたが、そもそも確定拠出年金(個人型)はどのような人が加入できるのでしょうか?
以前は、確定拠出年金(個人型)に加入できるのは、自営業の人か、企業年金制度がない企業勤めているサラリーマンのみでした。しかし、法改正によって2017年1月より、確定拠出年金(個人型)に加入できる条件が変更されて多くの方が加入できるようになりました。また、確定拠出年金(個人型)の愛称は、「iDeCo」と名付けられました。
さて、加入できる条件ですが、以下のようになっています。
| 年齢 | 備考 |
自営業
(第1号被保険者) | 満20歳以上60歳未満 | 農業基金に加入している人は除く
障害基礎年金受給者でないこと |
会社員
(第2号被保険者) | 60歳未満 | 確定拠出年金(企業型)に加入している場合は、
- 企業が確定拠出年金(個人型)に加入を許可していること
- マッチング拠出を行っていないこと
|
公務員 | 60歳未満 | |
専業主婦・主夫など
(第3号被保険者) | 60歳未満 | |
(参考:http://www.smbc.co.jp/kojin/401k/kakutei/)
確定拠出年金(個人型)に加入するメリットについて
確定拠出年金(個人型)に加入するメリットですが、よく言われているのが、
- 掛け金は全額所得控除対象となる。
- 運用利益は非課税
- 受け取り時、
- 一時金として受けとる場合 → 退職所得控除の対象になる
- 年金として受けとる場合 → 公的年金等控除の対象になる
の3つの税の優遇です。しかし、本当に、得になっているのでしょうか?上の1、2は問題ないと思います。しかし、3には注意が必要です。この記事を書き始めたときは、1と2だけに注目していたので、老後資金の貯金代わりに確定拠出年金(個人)に加入するだけでも節税になるなぁ、と思っていたのですがそう簡単ではないようです。というのは、退職控除にしても、年金にしても
他の退職金・年金と合計したもので控除額、税率が決まるからです。
具体的に計算してみます。
[60歳で退職金として受けとる場合]
勤続年数:35年
所得税率:10%
住民税:10%
退職金:1000万円
毎月の拠出額:2万円(35年間)
とします。所得税は年収500万円を想定したとき、大体10%ぐらいになるだろうと考えて設定しています。また、 簡単なため35年間ずっと所得税率10%とします。
この場合に、まず確定拠出年金に入っていないとして、税金を計算してみます。
勤続年数で決まる退職金控除額は、
退職金控除額=40×20+70×(35-20)=1500万円
退職金から退職金控除額を差し引いて1/2倍したものが課税対象になる金額(課税退職所得額)です。
課税退職所得額=(1000-1500)×1/2=-250万円
(参考:https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/02_3.htm)
のように、控除額の方が退職金よりも控除額の方が大きくなり、退職金には課税されないことになります。一方、確定拠出年金の退職一時金を考慮した場合を計算してみます。まず、拠出金額の合計です。
拠出金合計=2×12×35=840
ここでは仮定として、確定拠出年金(個人型)を老後のための貯金代わりに使い、拠出金がそのまま運用されずに残ったとします(実際には、手数料がとられますが)。すると、この840万円を退職一時金として受けとることになります。よって、退職金は、
退職金=1000+840=1840
です。勤続年数で決まる控除額は先の計算と変わらないので1500万円、課税退職所得額は、
退職金課税額=(1840-1500)×1/2=170万円
課税退職所得額にかかる税率ですが、住民税は一律10%、所得税は課税退職所得額によって変わり、170万円では参考URLの表によると5%であることがわかります。よって、
税金=170×(10%+5%)=25万5千円
となり、課税額が余分に発生してしまいました。問題は、1の掛け金が所得控除対象になるこによる節税効果と比べてどちらが大きいかです。所得控除はいくらされていたのでしょうか?35年間ずっと所得税率10%、住民税が10%と仮定しているので、
節税効果=(掛け金)2×(10%+10%)×35=14万円
???節税効果14万円の削減で、受け取り時にとられる税金が25万5千円となり、全く節税になっていません。ここでは、退職金を1000万円で計算しましたが、700万円だと課税退職所得額が20万円になり、所得税率5%と住民税10%から3万円が税金でとなり、14万円以下で11万円の節税効果が得られます。つまり、勤続年数、退職金、掛け金による所得控除額をちゃんと計算しないと、メリットがあるかどうかわかりません。
また、ここでは手数料については無視していましたが、確定拠出年金に加入すると様々な手数料が掛かることにも注意しましょう。手数料は、
種類 | 金額 | 支払うタイミング |
加入手数料 | 2,777円 | 加入時 |
口座管理手数料 | 167円+運営管理手数料 | 毎月かかる。運営管理手数料は金融機関により異なる |
給付事務手数料 | 432円 | 一回の給付毎にかかる |
(`参考:http://diamond.jp/articles/-/98419)
また、
60歳まで給付を受け取れないため、その間に税率が変わる可能性があることも注意する必要があります。
結局、積極的に運用して利益を得ないと大きな節税効果は期待できないですね。老後の貯金代わりに確定拠出年金(個人型)を利用しようと考えている人は、慎重にどれだけの節税効果が得られるか計算した方がよいと思います。
また、専業主婦・主夫でも確定拠出年金(個人型)に入れるようになりましたが、勤続はないので退職所得控除も受けれないですよね?どうなるのでしょう??もしわかる方いましたら教えてください。
最後に、自分なりに調べて節税効果を計算してみましたが、間違っていなどありましたら教えてください。また、この記事を読んで不利益が発生したとしも当blogは責任を負いません。自己責任でお願いします。
2017/05/28